修行?監獄?実録フィリピン留学スパルタ校の生活
2019.08.06
この記事は約11分で読めます。
皆さんは「スパルタ」という言葉を聞いたことがありますか?
近頃ますます人気のフィリピン留学ですが、語学留学とひとことに言っても、留学スタイルはひとそれぞれ求めるものが違います。そういったニーズに合わせるかのように、実に多種多様な留学スタイルが展開されています。
例えばフィリピンの語学学校ひとつ取ってみても「ゆるい学校」なのか「スパルタ校」なのか、「日本人が多い学校」なのか「外国人が多い学校」なのか、「安い学校」か「ラグジュアリーな学校」か、などなど学校も独自の強みや特色を出しています・・・。
さらに留学スタイルも様々です。海の近くでのんびり「リゾート型留学」なのか、ストイックに学校に閉じこもり結果を出すことが全て「スパルタ型」か。はたまた「親子留学」「子供留学」「大人留学」「社会人留学」「短期留学」「二カ国留学」など、留学形態はいまや多くのバリエーションで「未来の生徒さん」であるあなたを待ち構えています。
今回はその中でも、フィリピン留学独特の留学形式である「スパルタ」形式の学校にスポットをあてて、その実態をご紹介していきたいと思います。
スパルタとは一体何なのか?実際の生活スケジュールなどを参照しながら、生活ぶりを想像してみてください。
目次
スパルタ形式の学校って?
そもそもスパルタとはどういった意味なのでしょう。
“極めて厳格かつ過酷な訓練を施すことが特徴である。自己が帰属する組織への忠誠心の涵養や、軍事訓練、歌唱、舞踊、狩猟など総合的な社会学習を主眼とする。”
(出展:wikipediaより一部抜粋して引用)
ということですので、とにかく厳しく過酷な状態で、ひたすら目標を達成するためにトレーニングすること という雰囲気で使われている言葉ですね。
ですが、フィリピン留学のスパルタは、さすがにムチを持ってしばかれたり、食事抜きにされたりといった体罰はありませんので、ご安心を。フィリピン留学のスパルタの明確な定義はありませんが、大体は下記のようなものがスパルタというふうに暗黙のルールで区分されているようです。
- ・1日10時間以上の勉強時間を強制されている
- ・単語テスト、文法テストといったテストが毎日実施される
- ・平日の外出は禁止
- ・義務自習がある
1日10時間の勉強というと、日本人の平均睡眠時間が7時間ちょっとなので、起きている17時間のうち6割近くの時間勉強することになります。「起きている時間の6割なら、勉強漬けとは言えないんじゃない?」という方もいるかもしれません。しかし、これは強制的に勉強している時間であって、実際にはもっと勉強するのがスパルタ形式の学校の生徒さんです。自分の時間を使って予習復習しておかないと、せっかくレッスンで学んだ事も無駄になってしまうし、また翌日のレッスンもポカーンとついて行けなくなってしまうのです。そうなると、休憩時間、食事、お風呂などの時間を除いて一日のうちほとんどの時間を机に向かって過ごしていることになります。
スパルタ形式の学校のスケジュールは?
では、実際にスパルタ形式の学校に留学した方は、一体どのようなスケジュールを過ごされたのでしょうか。
とあるスパルタ校のスケジュール例
5:55 | 起床 |
7:00 | ボキャブラリーテスト(50問から10問テスト) |
7:30 | 朝食 |
8:00 | 1限目 マンツーマンレッスン |
9:00 | 2限目 マンツーマンレッスン |
10:00 | 3限目 マンツーマンレッスン |
11:00 | 4限目 マンツーマンレッスン |
11:55 | 昼食・休憩 |
13:00 | 5限目 小グループレッスン |
14:00 | 6限目 小グループレッスン |
14:55 | 長休憩(15分間) |
15:10 | 7限目 大グループレッスン |
16:10 | 8限目 大グループレッスン |
17:05 | 夕食 |
18:00 | 義務自習(2時間) |
20:00 | 文章テスト(40問から自分が何問いけるか申告性) |
21:00 | 宿題と自習 |
22:00 | シャワー・就寝準備 |
23:30 | 就寝 |
とあるスパルタ校に実際に留学された卒業生にお話を伺ってみました。
まず、一日のスタートは、5:55の起床から。点呼がありますのでお部屋の前に立って監督官を待つ必要があります。
”私一度点呼の時間にどうしても我慢できず3分ほどトイレに行ってたんですが、そのタイミングで運悪く監督官が来てしまい、警告を出されました。弁解の余地もありませんでした、それぐらい時間やルールには非常に厳しいです。”
ということですので、「おれはお金払っているんだからお客様だろう?」のような考え方の方にはそもそも合ってないかもしれません。学校の生徒としての自覚と、厳しいルールに向き合うまじめな姿勢が必要でしょう。
その後朝食の前に単語テストを毎日受ける必要があります。レッスンはマンツー4コマ、グループ4コマ、義務自習2コマの計10時間。義務自習はその名の通り強制的に自習しなければいけない時間ですので、決められた机に座っていないとペナルティになります。
この生徒さんいわく、
”私は要領が悪いので、直前の義務自習中に文章テストの勉強を毎日していたので、予習や復習はその後、義務の時間が終わってからの自由時間の間にやることが多かったです。”
とのこと。少ない自由時間すらも勉強にまわしてしまう根性や、英語学習への熱意がなければ、スパルタ校の生活には耐えられないかもしれません。
このスケジュールを見て、あなたはどう思いますか?
「こんな息つく暇もないスケジュール私には無理・・・」
と思う方もいれば、
「一度、こんなスパルタ環境に身を置いて、英語漬けになってみたい」
と思う方もいるかと思います。
はっきり言って、このような無茶とも言えるスパルタスケジュールを運営できるのも、人件費が非常に安価なフィリピンだからこそ実現できるのです。ネイティブ圏で同じことをやろうと思ったら絶対に不可能です。運営には天文学的な運営コストがかかり、たちまち経営難に陥るでしょう。スパルタ形式こそ、フィリピン留学の礎を築いた韓国人の置き土産なのです。受け入れられる方にとっては、大変有効な留学スタイルですので、ぜひ活用していただきたいです。
それにしても、詰め込み教育で有名な韓国式の学習スタイルを、まさかここセブで体験できることになるとは、フィリピン留学のルーツを知らない方にとっては驚きの事実かもしれませんね。
スパルタがNGな方にはセミスパルタ
さて、いくらレッスン数がお得で超英語漬けの環境になれるからといって、「心機一転、フィリピンで英語の勉強頑張るぞー!」なんて意気込んでいても、このスパルタ校のスケジュールを見た途端尻込みする方も、実は結構多いかと思います。
そんな方におすすめなのが、スパルタほどではないけれども厳しい環境でしっかり勉強できる「セミスパルタ」の学校。こちらは、スパルタの厳しさをしっかり継承しつつ、平日外出禁止の緩和や、起床時間やレッスン数などが多少ゆるくなっているのがセミスパルタの特徴です。「これぐらいなら頑張れるかな」という内容まで日本人向けに調整されています。日本人の方にとっては、これぐらいの学習時間でも十分すぎるほど充実した内容になっていると思います。
セミスパルタ形式の学校のスケジュールは?
それでは、スパルタほどではないけれど、しっかり勉強に集中できるセミスパルタの学校の生徒さんたちは、どういった留学生活をおくられているのでしょうか。とあるセミスパルタ校のスケジュールをモデルに見てみましょう。
とあるセミスパルタ校のスケジュール例
6:30 | 起床 |
7:00 | 朝食 |
7:30 | 単語テスト |
8:30 | 1限目 マンツーマンレッスン |
9:25 | 2限目 マンツーマンレッスン |
10:20 | 3限目 マンツーマンレッスン |
11:15 | 4限目 マンツーマンレッスン |
11:50 | 昼食・休憩 |
13:05 | 5限目 小グループレッスン |
14:00 | 6限目 小グループレッスン |
14:55 | 7限目 中グループレッスン |
15:50 | 8限目 大グループレッスン |
16:45 | 9限目 自習 |
17:40 | 10限目 自習 |
18:30 | 夕食 |
19:20~22:00 | 自由時間(外出自由) |
23:30 | 就寝 |
このスケジュールを見て、「やっぱりちょっと自分には厳しいかな・・・」と思う方もいると思います。ですが、よく考えてみてください。あなたはなぜフィリピン留学に興味を持ったのでしたか?そしてなぜあなたは今、このブログを読んでいるのでしょう?それは、「英語が自分に必要」だと感じているからではないでしょうか。
語学の習得は英語に限らずどんな言語でも、大変難しく時間のかかる学習の積み重ねです。多くの人にとって、それは途方もなく奥行きのある砂漠を少しずつ歩みを進める、終わりのない旅のようなものなのです。
このような無限の時間を要する英語学習ですが、特に社会人を経験されたことのある方なら、英語の勉強だけをしていればいい時間、英語学習に没頭できる時間が、どれほど貴重な時間であるかを理解されていると思います。そんな貴重な貴重な時間と安くはない学費を、できるだけ有効に有意義に使いたい!もちろん遊びは最小限、とにかく勉強に向かい合いたい!という覚悟を決めた方であれば、このスケジュールは大した障害にはならないはずです。
それでも、人によってはやはりもっと自分のペースでのんびり学習したいと考える人も多いでしょう。また、「詰め込みは学習効率が悪い」という持論を展開される方も中にはいらっしゃるでしょう。スパルタ方式の学習論については、賛否両論ありますのでここではあえて触れませんが、「セミが付こうが付くまいが、やっぱりスパルタは無理!」という方には、一般的なESLコースがおすすめです。
スパルタではない一般コースでも、自習で復習をしっかりと時間をとって行い、当日のレッスンを無駄にしないよう咀嚼していく作業を怠らなければ、着実にステップアップできます。むしろそういった勉強スタイルを好む方が一番多いです。
自分に合う学校を選ぶことが大前提
たとえば、自分に合っていないサイズの靴を履いた時を想像してみてください。靴が大きすぎると走れませんし、小さすぎると足が痛くなりやがて歩けなくなります。学校選びも靴選びに似ていて、自分に合ったものを選ぶべきです。走ることが目的な場合は、走りやすくて軽くて、しっかり紐を閉めて足にフィットするランニングシューズを選びますし、ちょっとそこまでぶらぶらお出かけするだけの場合、リラックスして履けるサンダルを選ぶと良いですよね。走りたいのかぶらぶら散歩したいのか、その違いはスパルタ系の学校を選ぶか、リゾート系の学校を選ぶかの違いに例えられます。
普通の靴、走りもしないけどちゃんと歩けて疲れないスニーカーのような存在は、最も一般的な学校やコースに例えられます。4技能の学習がバランスよく配合されたマンツーマン4時間+グループレッスン2時間+α 程度のESLコースのレッスンスタイルが、フィリピン留学では最も一般的でしょう。実際に受講を希望される方も一番多いです。
また別の話で、靴にはその他にも長靴とかバスケットシューズといった特別な機能を持った靴があります。これらは学校でいうところのIELTS特化や全員がネイティブ講師の学校といった、ちょっと特殊なレッスンや特徴を持つ学校に例えられます。
このように、靴に沢山の種類やデザイン・機能・目的があるように、学校にも実に様々なバリエーションがあります。フィリピン留学の素晴らしいところは、色々な靴が全て格安で売られているところに尽きるでしょう。生徒さんのニーズにあわせ、ニーズの数だけ様々な学校がフィリピン各地に散らばっています。あなたの学習スタイルにピッタリ合った語学学校は、フィリピン国内で探せば必ず見つかるはずです。
スパルタやセミスパルタの学校が自分に合っていると思った方も、その厳しさの度合いは学校によって異なります。また、自分にはスパルタは向いていないと感じた方は、ぜひ自分に合ったスタイルの1校を探し出してみてください。きっとフィリピン留学の語学学校探しの道がひらけるはずです。
まとめ
スパルタやセミスパルタ形式の学校は、フィリピンに沢山存在します。いつも甘い自分を厳しい学習環境に追い込む為に、覚悟を決めてそういった学校にエイヤッと飛び込んでみるのは一つの方法かもしれません。ですが、自分のスタイルと全く違う学校に長時間身を置くことは、長期的に見れば辛いだけでちっとも効率的ではありませんし、むしろストレスが溜まるだけで、これだったら日本で自習していたほうが良かった などという事態に陥りかねません。
そういったことを避ける為にも、まずは自分がなぜ英語を勉強したいのか ということと、どのぐらいの期間で、どういったレベルに達していたいのか、フィリピン留学の目標・ゴールを設定しておくことは、学校探しをする上で非常に重要で、必ず確認しておきたい要素のひとつとも言えます。
TRANSITでは、お一人お一人とじっくりカウンセリングして、お話しの中でしっかりと目標・ゴールを探り、その目標を達成するために最適な1校をセレクトいたします。もしスパルタやセミスパルタの学校が合っていないと判断した人には、無理にそういった学校をおすすめすることはしません。
今回モデルケースでご紹介したスパルタ・セミスパルタ校
セブシティにある老舗のスパルタ校。フランス資本ながら雰囲気は完全に韓国系の学校。とにかく厳しいことで知られており、監獄などと揶揄されることもしばしば。しかしそういった自分を追い込む環境に強制的に突入させるためには、これ以上ない環境とも言える。
CIA
韓国系のこちらも老舗のセミスパルタ校。適度に日々の息抜きも楽しみながらしっかり学習できる環境。全体的に年齢層が低めなのと、7月〜8月や1月〜2月は韓国のピークと重なる為韓国人の子供が押し寄せるのが、子供が苦手な方にとっては少しネックかもしれません。